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−東武鉄道 800.850系−8000系ではないその理由

−鉄道車両写真集−
東武鉄道 伊勢崎各線800系 850系
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東武鉄道 伊勢崎各線  800系 850系 3両編成 編成表
←浅草方@             B伊勢崎方→
クハ800-1_モハ800-2_モハ800-3  モハ850-1_モハ850-2_クハ850-3
Tc-M-Mc               Mc-M-Tc
参考 私鉄車両編成表2011年版  
東武鉄道 800系 806F 撮影 2010年8月  伊勢崎線 木崎駅

800.850系は8000系の3連バージョンという位置づけになっているようです。

8000系は、もともと4連を基本とする編成単位で開発された系列で、1963年にデビューしています。
翌年には2連バージョンが、1977年には8連バージョンまで登場しています。

さて、そんな8000系に3連バージョンが登場したのですが、彼らは800系850系と名付けられました。
なぜ8000系じゃないのでしょう?不思議ですね。
今回はそこんところに突っ込んでみたいと思います。

彼らがデビューしたのは、2004〜05年にかけてのことです。1977年からはかなり間隔が開いていますね。
21世紀になって、いまさら新造するわけはありません、すべて改造車です。
館林・太田地区の5050系と置き換えるために3連×5×2=30両がデビューしました。
8連バージョンからサハを2両を抜き出すことで組成された編成です。

クハ8100(奇)+モハ8200(奇)+モハ8300(奇)+サハ8900(奇)+サハ8900(偶)+モハ8200(偶)+モハ8300(偶)+クハ8400(偶)
   クハ800-1+_モハ800-2+_モハ800-3                  モハ850-1+_モハ850-2+_クハ850-3

ですから今回はモハ8300(奇)とモハ8200(偶)新たに運転台を取り付けたわけですね。
国鉄流にいえば、モハがクモハ になったということです。
しかし東武にはかねてからクモハという称号は存在しません。
ちなみにこの運転台は6+2連で運行するがゆえに、使用していないクハ8400とモハ8500から捻出したものですが、
「クハ」については「サハ」に形式変更したものの、「モハ」はそのままです。
まあそれなら、その例にならって、新たに運転台をつけたといっても「モハ」のままにしても良さそうなものですが、
新たに先頭車になった車両が、中間車と区別がつかないのでは、さすがに不都合なので新形式を割り当てることにしました。

8000系は712両にも及ぶ大所帯で、最も数の多いモハ8200(8300も同数)は100以内に収まらず〜82120と5桁にまでなっています。 
100の位が車種別にあてがわれているわけですが、0以外はすべて割り当て済み、今更、空番号はありません。
缶詰の例に倣って10=X、11=Y、12=Zとする手もありますが、東武ではもう一つある番号割りあてをここに導入します。
特急スペーシア100系の番号割り当てです。
こちらは100-1、100-2、100-3…とハイフン以下で浅草から何両目かを割り当てるというやり方です。
何編成目かは1と10の位で判別しますので、105-3は第5編成の浅草から3両目とわかります。
もっとも、この割り当て方法は、スペーシアがすべて6連であるから成り立っているようなものです。

でも8000系はもうこれ以上バージョンを増やすことはありますまい。
8100側の3連を800系とし、モ8300(M)をモ800-3(Mc)としました。そして
8400側の3連を850系とし、モ8200(M)をモ850-1(Mc)としました。

さてこれで一件落着といいたいところなのですが、8000系のことをあれこれ調べてゆくと、
3連バージョンである800系、850系は、やはり8000系とは別で考えるべきものではないか。と思えるのです。

というわけで…もう少し、おつきあいください。
まずは8000系についておさらいします。

8000系は1963年に登場しました。東武では日比谷線直通の2000系に次ぐ新性能車です。
「新性能電車」とは、軽量車体に、カルダン駆動、電磁直通ブレーキなどを備え、ユニットで編成を組むなどした電車を指し、
国鉄でいえば101系、151系などが、これに該当します。
大手私鉄に於いても、すでに多く誕生していました。東武は、多少奥手といえそうです。

しかしその分、中身はこなれています。
MM’ユニットを構成し、電動機は当時最強クラスとなる130kW(TM63形)を装備します。
国鉄でいえば、新性能車第2世代の103系に相当するということになるでしょうか。
いや、通勤車としては、もう一つ上をいっています。制御装置は1C8M方式の超多段バーニア式抵抗制御です。
台車(TRS-62M/TRS-62T)も、当時の普通列車用としては珍しい空気バネを装備するなどぐっと充実しているのです。

前述したように8000系は4連(クハ8100-モハ8200-モハ8300-クハ8400)を基本とする編成単位で開発された系列で、
1970年までに55編成投入されました。
基本編成登場から遅れること約1年、8000系に2連が登場します。
これは、利用者増で増結が必要となったことに加え、閑散時間帯に短編成で運用するなど、柔軟な運用ができるようにするためでした。
2連は、モハ8500+クハ8600となりました。
モハ8500には、4連と同じく超多段バーニア式抵抗制御装置を搭載しますが、1C4M方式に変更されました。
補助機器類はクハ8600型に搭載して、2両でユニットを構成しています。
国鉄であれば、103系に対する105系ともいえるわけで、この2連を8500系と呼ぶれることもあるようです。
でも、これはあくまで8000系です。
8000系は基本4連+付属2連というスタイルで使用されるのが標準です。105系はそんな使い方はしません。
もちろん付属編成2〜3本をつないでの運用も行われています。

沿線人口の急増に伴い常時6連で使用されることが多くなったことから、東武鉄道は6両固定編成を登場させます。
 クハ8100+モハ8200+モハ8300サハ8700+モハ8800クハ8400です。

ここで新形式 モハ8800とサハ8700が登場しています。
付属2連の運転室無しバージョンを、中間に組み込んだということです。(MTの位置は逆になりましたが…)

 1977年には、東上線用に8連が登場します。これも6+2や4+4、4+2+2の併結編成が恒常的になってきたためです。
8連は、4両固定編成2本を組み合わせた仕様です。

  クハ8100(奇)+モハ8200(奇)+モハ8300(奇)+サハ8900(奇)
       サハ8900(偶)+モハ8200(偶)+モハ8300(偶)+クハ8400(偶)

ここで新形式サハ8900が登場します。
既存のサハ8700に補助機器が搭載されているのに対し、サハ8900形は補助機器の搭載がありません。全くの別形式です。
あえて言えば4連のクハの運転室無しバージョンですね。

 1976年以降の増備車はマイナーチェンジが行われ、台車もTRS-75M/Tに変更されています。
しかし、4連2連のユニットを組み合わせるというその基本は何も変わってはいないのです。
つまり、どのような編成を組んでも8000系はMT比を1:1に維持しています。

これに対し、800.850系はMT比が2:1です。ここが違います。
そのニーズに合わせて、わざわざ3連に組成したワケですから、3連固定で使います。

あと800.850系の特徴としてはワンマン運転対応というのもあります。
でも8000系にもワンマン運転対応編成はあって、800系850系固有の特色とはなり得ません。
というわけで、やはり違いはこのMT比につきるといってもいいでしょう。

ただ、M車の比率が高くなったからといって、800.850系が高加減速の強力編成かといえば、そういうわけでもありません。
他の8000系と同様にその性能は抑えられています。
思えば、800.850系を使用する線区、列車種別を考えてみてもそんな必要はありません。

でも考えてみてください。東武の電車はおしなべて偶数編成で3連はもちろん800.850系だけです。
そして、特急用や地下鉄線直通などの特殊な用途以外の一般車について、東武鉄道は、頑ななくらい1:1のMT比を踏襲しているのです。
この辺は西武鉄道と対照的です。

ですから改造車とはいえ、今までの東武の伝統を大きく逸脱することになる8000系の3連バージョンは、
8000系の枠内で一括りにはできない異端車なのです。
800.850系となったのは、空き番号を求めたあげくの窮余の策だとは私には思えません。

ところで、なぜ3連バージョンが必要となったのでしょう。
800.850系の働き場所は、伊勢崎線の末端部分(太田−伊勢崎)と佐野線(館林−葛生)です。
彼らはここで働いていた5050系の後継車ですが、5050系は4連でした。
4連では大きすぎるということなのでしょう。
さりとて2連では、まかなえないということの結果が3連なのでしょうが、私などは「大は小を兼ねる」で4連でいいではないかとも思えるのです。
800.850系の種車となったのは、8000系8連です。今回の改造にあたって、サハ2両×5が廃車されています。
8000系としてはむしろ新しい車両です。こちらに運転台を付けたっていいような気もします。(そうなれば紛れもない8000系ですが…)
しかし東武鉄道は3連を必要としました。
いかな東武鉄道でも、どんぶり勘定では済まされない厳しい現実があるということなのでしょう。


 参考文献 鉄道ピクトリアル 特集 東武鉄道 1997年 No647



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