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  養老鉄道 606系(もと近鉄6850形)  2011/05/01 UP
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養老鉄道 606系(もと近鉄6850形ラビットカー)
養老鉄道 606系モ606                     撮影 2011.4  大垣駅
養老鉄道606系形 606F編成表    
←@大垣            桑名、揖斐A→
606 506
Mc Tc
モ606(旧モ6857)−ク506(モ6858)
近畿日本鉄道 6850形(ラビットカー)スペック 
6851−6858 Mc  1957年/1963年 (近車)
自重33.1t
モータ MB-3032-S(90kw×4)(三菱) ギヤ比 16:97         
M台車 KD23(1次車:51-54).KD39(4次車:55-58)          
制御装置 ABF  ブレーキ HSC-D             
定員170(座席58)
参考;鉄道ピクトリアル「特集 近畿日本鉄道」No398 1981.12

養老鉄道 606系

養老鉄道は経営不振にあえぐ近鉄養老線を2008年に引き継いだ鉄道会社です。
名鉄のようにローカル線を廃止、縮小するよりは、もちろんいいことだとは思うのですが、
トカゲのしっぽのようで寂しい感じは否めません。

大手民鉄から、このように経営が移管されるのは、南海→和歌山電鐵(2006年)がその先例となります。

ただ大きく違うことがあります。それは車両のありようです。
養老鉄道は、近鉄から車両をレンタルしており、実は自前の車両を所有してはいないのです。
さて、近鉄においては、同じく2008年、伊賀線も養老鉄道同様、伊賀鉄道に転換されました。
伊賀鉄道では2年後に東急1000系を改造した200系を導入。
自前の車両が走ることになりました。
まだ近鉄籍の860系も活躍していますが、忍者のイラストを施した車両を走らせるなど、独自性を打ち出しています。

一方、養老鉄道では近鉄時代から進められていた旧近鉄色塗装をそのまま引き継ぎ
近鉄南大阪線からやってきた6850系→606系については、
2009年9月。彼らのデビュー時の塗装であるオレンジ色のラビットカー塗装を施しました。
むしろ近鉄らしさをアピールしているかのようです。

自分は切り捨てられたという感さえあるのに、なぜこのような親会社を慕うのか?
珍車ギャラリーと銘打っていますが、まず、養老鉄道こそ珍社と申し上げるべきかもしれません。

ここで、前述のラビットカーとラビットカーが走った近鉄南大阪線について、お話ししておこうと思います。
南大阪線は大阪鉄道由来の狭軌線で吉野鉄道由来の吉野線を加えて、近鉄の傘下に入りました。
旧養老鉄道が開業した養老線が湯の山線などを加えて三重交通入りし、近鉄の傘下に入った
と書けば同じような経過を辿ってきたといえなくもないのですが、
はっきりいって規模も性格も全く違います。

南大阪線は都市間連絡の路線ではなく、片側輸送の通勤路線です。
とくに朝ラッシュ時の阿部野橋行きの混雑はハンパではありませんでした。
すべて各駅停車にして平行ダイヤを組めば、輸送力はUPしますが、
市内から遠く離れた近郊からの通勤客を取り込もうとするなら、急行列車は不可欠です。
しかし、南大阪線に複々線はありません。
各駅停車が後続の急行に追いつかれないためにも、瞬発力のある高加速高減速の車両が必要ということになるのです。
このニーズに応える車両こそが、ラビットカーということになります。
ラビット(ウサギ)のように、ピョンピョンと列車ダイヤのすき間を跳ね回るというのがその名の由来です。

もっとも、養老線にそのような性能は全く必要ありません。
養老線の606Fは、1M1Tに変更。今やMc車の足回りは全く別物と言っていいでしょう。

さて、私は鉄道マニアですから、6800系ラビットカーのことは当然知っています。
しかし、私がカメラを構えるようになったときには、もう近鉄(旧)標準色になっていました。

おなじ性格を持つ阪神5000系ジェットカーもそうですが、
実はラビットカーは沿線住民以外にはあまり馴染みのない車両なのです。
例えば、私が阪神を利用するとしたら、まず甲子園駅なのですが、
梅田からわざわざ各駅停車に乗っていくことはありません。
ちなみに南大阪線の道明寺駅近くには、私の親戚の家があって、子どもの頃、よく遊びに行ったものです。
しかし阿部野橋から、各駅停車でいったことはただの一度もありません。
ですから、ひょっとしたら南大阪線沿線の方々にとっても
「こんなの…おったかいなあ?」
といわれるかもしれないのです。

思えば、養老線とは縁の薄い南大阪線の
それもかなり昔の一時期の旧塗装を復活させることに何の意味があるのか?
加えて本来の性能を発揮しているわけでもないのに、ラビットカーの名を復活させるのはなぜ?
と否定的な意見も出てきそうです。

でも私は、そうは思いません。
近鉄は適当な車両でお茶を濁しているとは思わないし、
養老鉄道も借り物の車両だからとおざなりにしているとは感じられないからです。

鉄道車両はひとつのキャラクターだと私は思っています。

山岳路線でもなく、高頻度の通勤路線でもない
つまり、車両の性能をあまり問題にしない養老線だからこそ、
昔から、養老線は様々な近鉄系旧型車両の終焉の地となってきました。

現在の養老鉄道の車両を見て頂ければおわかりいただけると思いますが、
見た目、どれもこれも同じように見えます。
しかし、実体はというと、その来歴は実に様々です。
もとは、南大阪線あるいは名古屋線で活躍し、縁あってこの地に流れ着いた中古車達です。

もし、606を600形に編入して同形式とし、それこそ、名古屋線出身の601にラビットカー塗装をする
などということをするのなら話は別ですが、
南大阪線出身の6850形に606形という別形式を与え、ラビットカー塗装をするというこだわり…

これは、つまり、近鉄が、そして養老鉄道が、鉄道という文化を大切にしているということだと思うのです。

このことを私はうれしく思います。

参考文献;鉄道ピクトリアル 「特集 近畿日本鉄道」No398 1981.12 
−鉄道車両写真集−
養老鉄道 600系 606系 620系 625系
近畿日本鉄道 ■養老線 600、610、620系  
〜’92 421、431、441系  
〜’82 5300形 5820形 6421、6431、6441系

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養老鉄道 600系、606系データ
  • モ601(旧モ1656)−サ551(サ6152)−ク501(ク1751)
  • モ602(旧モ1657)−サ552(サ6153)−ク502(ク1752)
  • モ603(旧モ1658)−ク503(ク1951)
  • モ604(旧モ1659)−ク504(ク1952)
  • モ606(旧モ6857)−ク506(モ6858)
  • モータは、南大阪線 6000系から捻出したMB-3082形。現在は全車135kWに統一されています。
  • 台車は、McにはKD-101形を新製。Tcは6800系から流用したKD-39C形を履いています。
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