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愛知高速交通(Linimo)100形3連 編成表
←藤が丘①       八草③→
101-102-103 (Mc1--M--Mc2 )
01F : 111-112-113 ~ 08F : 181-182-183
2005年3月6日開業
参考:私鉄車両編成表2010年版  撮影2007.12

-鉄道車両写真集-
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  愛知高速交通(Linimo)100形3連 01編成 撮影2007、12  

「浮いた存在」-愛知高速交通(Linimo)100形01編成

日本初の磁気浮上式鉄道車両となるのは愛知高速交通100形です。
彼らの活躍場所である東部丘陵線は、2005年開催の愛知万博(愛・地球博)の会場アクセス路線として建設され、
2005年3月6日の開通と同時に営業運転を開始しました。


まず、彼らの仕組みについてお話しします。

Linimoには鉄道車両における台車に相当するモジュールというものがあります。
100形には、1両あたり5組(左右で1組、合計10台)のモジュールが車体下部に装備されています。
各モジュールには浮上・案内(ヨコ方向の動き)用のマグネット・ドライバ・ユニット(MDU)が4個、
推進(タテ方向の動き)用のLIM(リニアインダクションモーター)用コイルが1台、その他油圧ブレーキ装置などが組み込まれています。

MDUは、制御コンピュータと電磁石駆動回路からなり、
電磁石に電流が流れると、レールに向かって吸引力が生まれ、車体が浮きます。
電磁石とレールとの間隔はギャップセンサーにより、常に一定の間隔を保つように制御されます。
MDUはモジュールごとに独立して装備されていて、
1台のモジュールに異常が発生した場合でも他のモジュールで浮上・案内を正常に行います。

なおモジュールには、非常用車輪(ローラー)があり、
故障等で浮上できない場合でも最寄り駅へ走行できます。

推進に関するLIMコイルは、モジュール毎に1台ありますが、
こちらは各車両に1台ずつ装備されたVVVFインバータ装置(IGBT 2レベル)により制御されます。

ブレーキは、電気と油圧の2系統を装備します。、
LIMコイルは、高速域では、回生ブレーキとして作動しますが、
停止直前では、油圧を利用したメカニカルブレーキを使用します。
普通の電車では、できるだけ電気ブレーキを使い、最終的に空気ブレーキでストップするというやり方ですが、
リニモでは空気ブレーキを油圧ブレーキにしているという点が違います。
なお油圧ブレーキは、ブレーキキャリパ(ライニンク)でレールを挟み、その摩擦力で制動力を得ます。

電気ブレーキだけでは不足する際は、油圧ブレーキが補足する電油協調制御が行われます。
(非常ブレーキは、全速域を油圧で制動。)
また、保安ブレーキも装備され、電源装置も1編成に2組装備と故障時にも万全のフェールセーフ設計になっています。

未来の乗り物は安全性にも抜かりはありません。


Linimoは、浮上走行です。
騒音や振動は極めて少ない 沿線の環境に優しい乗り物です。
また車輪とレールの間の粘着を利用していないことから、
雨天、積雪等の天候条件に左右されることはありません。
空転、滑走がないため高加減速が可能です。
最大60パーミルの急勾配も半径75mの急曲線もスムーズに走行できます。
普通、新交通システムの最高速度は60km/hですが、100形Linimoの設計最高速度は100km/hです。
スゴイですね。

100形Linimoは、中部HSST開発が開発したHSST試作車を基に実用化したものです。
しかし余りに先進的であったため2002年に先行して01編成が製作され、
大江にあるHSST実験線で3年近く試験走行を行ってきました。
ネットで調べたデータなので、そうした経費も含まれているのかわかりませんが、
1編成当たりの価格は約7億7700万円だそうです。

浮上するのに軽量化は欠かせません。
100形Linimoはアルミ合金製車体としました。
編成重量は51.9tです。
横浜新都市交通1000形更新車(スチール製)と較べてみましょう。
1000形の編成重量は55.1tです。
100形Linimoの定員が244人であるのに対し1000形の定員は356人。

コストパフォーマンスの違いは明らかです。
加えて、浮上させるためには電力が必要です。
どのくらい電気代に違いがあるのかわかりませんでしたが、
この浮上システムを受け継いだ事業者が現れないのは、
経済的なメリットに乏しいからではないかと思われます。

メンテナンスのことも考えなければなりません。
このシステムがスタンダードになってゆけば、
部品の調達も楽になるでしょうが、現状ではすべて特注品ということになります。

輸送力もさほど大きくなく、また思うように乗客数が伸びていないとも聞きます。
10年後、20年後、100形Linimoを維持することは困難ではないか。という気がしてなりません。

すばらしいメリットがあることはわかります。
未来を先取りする博覧会のアクセス交通としてふさわしいものであったことも認めます。
でも地に足が着いていない存在であるように思われるのです。


参考文献 鉄道車両年鑑2003年版 鉄道ピクトリアル臨時増刊号 2003年10月

リニアモーターカーというと、浮き上がって走る未来の超特急というイメージですが、
もともと「リニアモーター」は、回転ではなく直線的な運動をするモーターのことで、電動シェーバーや自動扉などにも利用されているテクノロジーです。
ですから、リニアモーターカーとは、リニアモーターを使うことで推進力を生み出す電車のことであって、浮くか浮かないかは関係ないのです。

たとえば、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線(1990年開業)や都営地下鉄大江戸線(1991年開業)は、リニアモーター駆動の鉄道です。
モーターで車軸を回して進むのではない電車が走行するこれらの路線には、
普通の鉄道と同じレールに加え、リアクションプレート(地上に敷かれた金属板)があり、
この金属板と車体に取り付けられたコイルに生じる誘導電流の相互作用によって前に進みます。
浮上してはいませんが、これも立派なリニアモーターカーです。

HSSTとは(High Speed Surface Transport)すなわち磁気浮上式鉄道を意味します。

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