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−リチウムイオン電池で走る日本最古の電車−

−鉄道車両写真集−
京都市電(+保存車)JUMP
N1-N133  高床四輪木造電動客車 133両
車体:6.604t 梅鉢鉄工所製 台車:21-E ブリル 
モータ:25HP×2  直接制御 ブレーキ:水平片手把手々用
京都電氣鐵道株式会社より譲り受けたため詳細不明

参考:京都市交通局のHP
京都市電 狭軌1形 27号機 リチウムイオン電池駆動車 撮影;2014.8 梅小路公園

梅小路貨物駅(現在の京都貨物駅)の跡地に、
平安遷都1200年を記念して作られた面積約13.7haの公園があります。
梅小路公園です。
京都市交通局で保管されていたN電1形27号機は、1994年に製造当初の状態に復元され、
この梅小路公園で運転を開始しました。
公園の隣にある「JR梅小路蒸気機関車館」の入り口近くに乗り場があったので、
ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

2012年3月に、公園の北側に「京都水族館」がオープン。
2014年3月には「すざくゆめ広場」と「市電ひろば」が開園。
この公園の姿も大きく変わっています。そして現在。
前述のN電27号機は「すざくゆめ広場」と「市電ひろば(8輌の京都市電を展示)」との間に新設された240mの緑地軌道に移転、
ここを走行するようになりました。

ところでN電のNとは、何を意味するのでしょう。
答えはNarrow(狭い)の頭文字であるNです。で、何が狭いのかというとレールの幅です。
すなわちN電は狭軌路線であった北野線(=京都駅前−堀川通り経由−北野)で走っていた電車ということです。
さてこの北野線ですが、創業当時は京都市営ではありませんでした。
わが国初の電気鉄道会社=京都電気鉄道が開業した由緒ある路線です。
標準軌で路線網を築いた京都市電が、狭軌の同社を吸収し、競合路線の整理、あるいは改軌を行った結果、
狭軌のまま残った北野線の車輌記号に"N"を冠して区別したということです。

北野線では、1961年8月の廃止までポール集電の2軸単車であるN電1形が使用されていました。
このことはとりもなおさず、N電には新車が投入されなかったことになるわけですが、
結果、京都電気鉄道の名残を残す歴史的車両が生き残ることになり、
多くのN電たちが、交通局のみならず、明治村や各所で保存されることになりました。


2014年の夏休み。私は、新装なったこの梅小路公園を訪ねました。
もちろんN電27号機に再会するためです。
でも、走行してきた27号機に、私は違和感を感じてしまいました。
まず、静かなんです。
ツリカケ駆動独特のおなかに響く「ド ウエーーン」という音がほとんど聞こえてきません。
緑地軌道というのに見慣れていないというのもあると思いますが、
電車につきものの架線がないというのも、その大きな原因であろうと思われます。

そう、この公園のN電27号機。
明治時代の京都市電が運転されているというのは間違いないのですが、
客室内座席下に格納されているリチウムイオン電池でもって走行できるよう改造を施されていたのです。

架線柱や架線が設けられていないのは、景観に配慮してとのことでしたが、
走行音も低く抑えるべく、速度も低く設定されているのだと思われます。
加えて永く保存するために維持管理のことも考えてそうなったのだと思われます。

もっとも、終点では、律儀にポール回しは行われており、かつての光景を偲ぶこともできます。
でも、ポールの先を架線に、はめ込むことがポイントなわけで、
21世紀の子供たちが、これをして「明治時代の京都市電」そのものと思ってしまうのは少し残念な気もします。
いやいや、贅沢は申しますまい。
東京に遷都され意気消沈していた京都の町に必要なものは「電気」と田辺朔郎は琵琶湖疎水を完成させました。
その電力を活用すべく日本で初めての電車が動き始めたのです。
どういうカタチであれ、京都人の希望と誇りを背負ってきた電車の動態保存は意義深いことなのです。

そういえば、N電登場当時、
「退いとくれやっしゃー。危のおっせー。」
と旗を振って、電車の前をひた走り、注意を呼びかける告知人がいたそうです。
まだ少年と言っていい子供たちがこんな危険な仕事に就いていたそうなんですが、
そんな歴史も伝えていってくれたらな。と思いました。

ポール集電だった当時の保存車27号機

新路線の起点となる市電展示室はN電の車庫となると同時に、広軌1形29号機の保存場所ともなっており、
建屋内は標準軌と狭軌のデュアルゲージとなっており、
休憩所を兼ねた館内でゆっくりと見学できるようになっています。

一方「市電ひろば」に置かれているのは505、703、890、1605の4輌。
このうち505は車内がカフェに、703もオリジナルグッズ等を販売する売店に改造されています。
基本的に外観を変更していないので、外から見る限りまったく違和感は感じられませんが、
あまりお客さんがいなかったのが気がかりです。

何はともあれ、静かな夏の昼下がりでした。
現代という時代は静かであるということが当然のサービスなんですね。

時には「カン カーン」とフートゴングの音を高らかに鳴り響かせて走るときがあってもいいような気がします。

参考文献 京都市交通局のHP 



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