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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>JR西日本 キハ37-1
キハ37 1 加古川 船頭多くして船舶用エンジン 山に登る国鉄の一般型気動車は使用線区の実情にあわせて、@両運転台あるいは片運転台、A寒冷地向けあるいは暖地向け、Bトイレの有無などとバリエーションを広げ、 形式または番台区分で区別してきました。 たとえば、キハ47-1001は、40系で… @片運転台のA暖地向け(47-)でBトイレなし(-1000) という具合です。 今やJR各社が、各々の使用線区にあわせた新形式を登場させていますが、 一般型気動車は、とりわけ乗客減の著しいローカル線で使用されることが多いので、 JR東日本以外はその多くが、両運転台付きのワンマンカー仕様です。 キハ40系は、旧型の気動車を取り替えるという目的で開発されました。10系気動車の反省からか、 頑丈なボディを持つがゆえに車体重量は重く、ワンマン運転にも向いているとはいえないのですが、 両運転台付きのキハ40などは、まだまだローカル線で、ワンマンカーとして元気に働いている姿を見ることが出来ます。 第3セクターのローカル私鉄などでも両運転台付きのワンマンカーはおきまりの必須条件です。 さて、キハ37です。昭和57年に地方交通線での使用を主な目的として造られた国鉄の一般型気動車です。 当時、もはやローカル線の客離れは深刻な状況で、両運転台付きのワンマンカーこそが ニーズに合う車種だと思われるのですが、なんと片運転台しか存在しません。 加えて、客室とは30cmの段差がある高運転台となっていますのでワンマン運転にも不向きなスタイルで登場します。 キハ37は車両の調達コストを抑えるという試作的要素が強い系列だといわれていますが、 標準タイプをベースにして、採用可能なメニューを使用地域で選べるオプション制を採用しています。 ですから多くの派生形式(車種)が合ってもおかしくないのです。 しかし使用線区は、登場と同時に配属された加古川線と久留里線のみ。オーダーがないままにJR化が迫り、 より地域(=現場の声)に密着した新形式が、駆け込みで開発され、 (=九州地区のキハ31,四国地区のキハ32、北海道地区のキハ54などで…全て両運転台付きのワンマンカー仕様) 汎用の地方交通線車両キハ37は、宙に浮いた存在となってしまったのです。 それでは、キハ37とは、どんな車両だったのでしょう。 開発当時、赤字を垂れ流すと、ローカル線が批判の対象となっていたとはいえ、 キハ37の設計コンセプトには,かなりの無理があります。列挙すると @ラッシュ時輸送にも対応するために乗車定員は140名を確保。 A本線へ乗り入れることを想定し、最高速度を95km/hとする。 B重量の軽減を図るためダウンサイジングする。 C調達コストを抑えるため、台車、変速機など中古再生品を使用する。 D在来の車両とも連結が可能。 Eキハ37 1ではトイレ付きとする。というところです。 Bダウンサイジングしながら、@キャパを確保するのは明らかな矛盾です。 結果、片運転台となり、座席もロングシートでサービスダウン。Cコストを抑えるために冷房機も搭載できませんでした。 またキハ37の重量31.5tは、キハ40に較べれば軽いのですが、驚くほどではありません。 @はもちろん、A、D、Eの条件も重量がかさむ原因となります。 またCコストを抑えるために用いた古い台車なども軽量化への足かせとなりました。 廻りからあれもこれもと過酷な要求を突きつけられ、設計者は大変な苦労をされたと思われます。 そして、無茶な条件を満たしたときに、現場のニーズから遠いものとなってしまった。 それがキハ37なのではないでしょうか。 「船頭多くして、船山に上る。」この言葉がふと頭に浮かんだから、というのではありませんが、 実はキハ37のエンジンは、船舶用のエンジンを国鉄と新潟鉄工が共同で鉄道車両用に改良したものです。 システムとしてのキハ37は、うまくゆきませんでしたが、 エンジンは同タイプのものが、三陸鉄道などでも使われ高い評価を得ています。 以後、国鉄のみならず、JR各社そして3セクターのローカル私鉄でも、 キハ37で用いられた効率のよい直噴のディーゼルエンジンが、主流となってゆくのです。 また中古再生品の利用ということについても、そのノウハウを残しました。 キハ37が残した功績も忘れてはならないと思います。 キハ37はJR東日本にも現存します。 久留里線用の−2、−1002、−1003の3両です。 これらは富士重工で製造されました。 キハ37 2 木更津 キハ37 1001 加古川 |
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