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  JR四国 7200系  2018/01/31 UP
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  左 JR四国 7200系 7209                         右 JR四国 121系 クモハ121-2   多度津駅  2005.10  

JR四国7200系 −−「環境に配慮したエコロジーな車両」であるとは−−

7200系は121系をリニューアルしたものです。
あっさり申し上げましたが、
リニューアルすることで形式、系列までも変わってしまう例はそうそうありません。
それでもあえて、例を挙げれば2通りの理由が見いだせます。
いずれにせよ、リニューアルの枠を超えていますが
一つは、用途が大きく変わった場合で、
特急形が近郊形に改造された国鉄583系→419系がその例となります。
あるいは、運用される路線が変更され、直流電車が交直流電車に改造される場合もあります。
国鉄113系→415系800番台がそうですね。
あるいはその逆となるJR西日本683系→279系というのもあります。
いずれにせよ、リニューアルの枠を超えています。

そこで、7200系です。
用途が変わるわけでもなく、運行される路線も今までと変わらずというのに、
形式、系列までもリニューアルで変わってしまいました。

まず、ここで種車である121系について、お話ししておきたいと思います。
121系は1987年3月の瀬戸大橋線開業にあわせ、
高松近郊も直流電化されることから投入されることになった1M方式の近郊形電車です。
2連×19本=38両が製造されました。
電動機はMT55A、制御器はCS51A。電動機を4個永久直列とした抵抗制御。
また、発電ブレーキを制御するなど
基本的な構成は1M方式の先輩格である105系と同一です。

でも105系は通勤形です。
121系は同じく1M方式の近郊形である119系の発展型といえるでしょう。
119系が可能な限り廃車車両の発生品を流用した点も引き継がれています。
Mcの台車は103系の発生品であるDT33形をベースにした改良形DT33A。
Tcの台車は101系から流用したDT21Tです。
オールMが基本の101系ですから、クハ、サハは少数しかないので、
モータを取り外して流用したのですね DTのままになっています。
ふつう国鉄、JRでモータのない台車はTR-ですから、珍台車といえます。

と、ここまでは、
先輩格の近郊形である飯田線スペシャル_すなわち119系とほぼ同じです。
もっとも飯田線は山岳路線を多く抱えていますので、
抑速ブレーキや戻しノッチ機構などで足回りを固めている点は抑えておきたいところです。
対して121系のブレーキには205系や211系と同じく
発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキが採用されました。

まあそれでも 同じく2連で使うことが基本となる1M方式の近郊形電車です。
121系は総勢38両でしかない少数派ですから119系のマイナーチェンジ版ですませる手もあったはずです。

しかし、国鉄は新系列としてデビューさせました。
大きく違うのは、なんといっても車体です。
205系と同様の裾絞りのない軽量ステンレス製となりました。
通勤形である205系は4D車ですが、
近郊形となる121系は3D車として新たに設計されました。
この新車体を得たことが121系の今後を決定してゆくことになります。

ステンレスは錆びません。耐久性に優れ長持ちします。また塗装する手間もありません。
経営基盤が脆弱なJR四国にとって、おあつらえ向きの車体であったといえるでしょう。
121系は、そのすべてがJR四国に承継されたわけですが、
財政状態の厳しかった国鉄が、よくぞステンレス車体を採用してくれたものです。

その分、流用品で節約したツケはまわってきます。
MG(70kVA)は、サシ481形などから流用したものです。
1998〜2001年にかけ静止形インバータSIVに交換しました。
(18,19Fについては111系に取り付けたSIVを流用 (S-SIV90/90kVA))
パンタはPS16形を流用しましたが、これも年代物です。
1992年にS-PS58形に交換しました。
(これは観音寺−新居浜間電化にあわせ、狭小トンネル区間にも入線できるようにしたものでもあります。)
さて、そんななかでも厄介だったのは台車だったのではないでしょうか?
前述したように、Mcは103系流用のDT-33Aです。
103系ではサイズの大きいMT55系モータを採用したことから、車輪径が910mmとなっています。
一方、Tcは101系流用のDT-21Tです。こちらは860mmと標準的な車輪径ですから、
121系ではMc車とTc'車で台車の車輪径が異なるということになってしまいました。

2016年。121系は製造から30年近く経過していましたので、
足回りのみならず客室設備内外の大幅なリニューアルを施工することとなりました。
それが7200系です。

今回は、系列、車号を一新。JR四国のオリジナル車両にあわせて
「クモハ121(Mc)を7200、クハ121(Tc)を7300」としました。

リニューアルで目立っているのは台車です。
川崎重工業製空気ばね式ボルスタレス台車のCFRP台車「efWING」に変更しました。
(Mc車はS-DT67ef形、Tc'車はS-TR67ef形)
カワサキ製バイクのイメージカラーであるライムグリーン塗装が、
黒色ベースの台車になされているのが、文句なしに格好いい。

デザインだけではありません。
CFRPとは炭素繊維強化プラスチックのこと。
「efWING」では側バリ・コイルバネの両方の機能をCFRP製のバネに集約し、
大幅な軽量化を図っているのです。
台車単体で約2tの軽量化となっているのですが、これはすごいです。
なおこの台車を採用したことにより、
すべての台車の車輪径が統一されたのはいうまでもありません。

当然、制御装置も電動機も一新されました。
制御装置はVVVFインバータ制御となるS-CS63A。
IGBT素子を使用した2レベル電圧形PWMインバータで、
8600系に採用されたものと共通設計です。
1C1M構成ですから故障時には回路を1群毎に開放することで運転継続が可能です。
主電動機はかご形三相誘導電動機S-MT64 (140kW)。Mc車に4基搭載します。

最高速度のみならず、加減速の性能を7000系と合わせました。
よって共通運用も可能です。
またTc車の電気連結器も7000系と同タイプに変更し併結の自由度も高めました。

リニューアルの効果は見た目だけではないのです。

しかし、JR四国はあえて車体前面・側面に「eco 7200 series train」と記しました。
VVVFインバータ制御+かご形三相誘導電動機は8600系に採用されたものと共通設計ですし、
前照灯がLEDへ変更されているということも、
今時、目新しいシステムというほどのことでもありません。

では、なにがエコなのか?
それは、使えるものは とことん これを使いまわす という姿勢です。
121系の誕生から、7200系へのリニューアルまで
そんな思いが貫かれていることを示しているのだと私は思うのです。




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121系の機器更新車 2016.3〜改造
所属 高松運転所 編成番号は下二桁に対応
参照:JR編成表2018年冬版 

参考文献;鉄道ピクトリアル 「鉄道車両年鑑」No923(2016.10))各記事
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