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  JR九州 筑肥線用 103系1500番台  2010/05/23UP
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個性的な最後の103系−JR九州 103系1500番台 筑肥線用

JR九州 103系1500番台 クハ103-1507 JR九州 103系1500番台 6両編成 編成表 E01F〜10F
←西唐津                福岡空港→
クハ103-1500=モハ103-1500=モハ102-1500
     モハ103-1500=モハ102-1500= クハ103-1500
−鉄道車両写真集−
JR九州 103系1500番台.303系
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 JR九州 103系1500番台 E07編成 クハ103-1507        下山門駅 
103系という電車は、国鉄を代表する通勤用電車で、
製造両数は実に3447両。
製造期間は20年と10ヶ月(S38.3〜S59.1)に及びます。

実のところ、最後の103系は、
赤羽線の増結用にS58.10〜S59.1にかけて製造された
モハ103(-787〜-793).モハ102(-2044〜50)の7ユニットです。

当時、すでに101系は、大量廃車が進んでいました。
モハ102やモハ103は中間車でもありますから、
素人目には同じような電車が作り出されている一方で、
廃車が進められているという現状が見られたわけです。

103系はありふれた、よく見かける電車ということで
珍しくもないと思われがちな電車です。

しかし20年以上も作り続けられていたのですから
当然外観的にも差異が生じてきます。

特に先頭車については顕著で、高運転台の後期形クハ103系や貫通路付きの1000番台.1200番台などは、
誰が見たって違いは明らかです。
そしてその中でも異彩を放つのが、筑肥線用の103系1500番台なのです。
前述したように、1500番台は最後の103系ではありません。
でもシリーズとしては最後のグループであると言っていいでしょう。

画像を見ていただければ、おわかりいただけると思いますが、ドーンデザインによる奇抜なカラーリングもさることながら、
国鉄時代のおとなしい塗装でも、105系を思わせる1500番台のフェイスは際だった個性派です。

さて、彼らはどういう経緯で誕生したのでしょうか。

1983年。国鉄筑肥線は、福岡市営地下鉄と相互直通運転をすることとなりました。
それまで、交流電車しか走らせていなかった九州の国鉄線でしたが、
これを機に直流の通勤用電車を走らせることになったのです。
ここで導入されたのが、103系1500番台です。

1983年はというと、もう201系が量産されており、時代のトレンドといえば電機子チョッパ車でした。
103系1500番台の相方となる福岡市営地下鉄の1000系も電機子チョッパ車です。
福岡市交通局もチョッパ車の導入を望んだはずです。
千代田線乗り入れ用のチョッパ車203系の九州バージョンが登場してもおかしくないところです。
しかし、203系は省エネの高性能車ではありますが、車両コストが高くつく車両です。
財政上厳しい折からも当時の国鉄(門鉄局)が、見栄を張ってチョッパ車を導入する余裕はありませんでした。
加えて姪浜以西の筑肥線は列車本数も少なくなり、福岡市営地下鉄線内とは趣を異にします。
せっかくの回生ブレーキも、その電力を使ってくれる電車が近くにいなければ、ブレーキそのものが失効してしまいます。

そんなわけで、導入された103系1500番台は、スチール製で、メカも一世代前の抵抗制御車となってしまいました。
でも車内のアコモデーションは、201系に準じており遜色はありません。
また福岡市営地下鉄とあわせてATCを装備(ATC-9型)を装備するなど、新しい点もみられます。

注目すべき車両は@号車、103系としては珍しいトイレ付き車両です(2003年より取り付け、新型である303系も)。
なお、福岡市営地下鉄空港線は、2008年3月に東京メトロ千代田線で小田急60000形「MSE」が運転を開始するまでは、
日本の地下鉄でトイレ設置車両が走る唯一の路線だったということになります。
(まあ実際には近鉄難波線も地下鉄というべきですが)

福岡市営地下鉄空港線は、1984年、地下鉄としては国内初となるワンマン運転を開始。
2004年には、全駅にホームドアが設置されました。
しかし103系1500番台は、乗入先である地下鉄線内でのワンマン運転には対応しておらず、
同線内のホームドアとの連動もできません。
このため、地下鉄線内で運転されるときは車掌が乗務し、
通常のドアスイッチの操作とあわせてホームドアを開閉リモコンで操作しています。
せっかく設備投資をしてワンマン化したわけですから福岡市営地下鉄としては、
ワンマン化対応車である303系のさらなる増強をJR九州に望んでいることでしょう。
しかし、前述したようにJR筑肥線は列車本数も少なく、地下鉄空港線とはその実情が違います。
特に筑前前原より西、 西唐津までの区間は、輸送量も少なく、列車は3両編成で運行されています。
そのために1989年に登場したのが、3連用改造車、クモハ 103-1500番台及びクモハ102-1500番台です。
またローカル線区間では、折り返し時等、長時間停車することが多いのです。
車内保温のため4ドアのうち3ドアを締切る機能も装備しています。
トイレについても、駅間距離が長く、なおかつ列車本数の少ない筑前前原以西の運行にあっては必須のものでしょう。
ローカル線区間にあってはその実態にあった車両が必要なのです。

303系はVVVFインバータ電車で福岡市営地下鉄の新鋭2000系と十分に渡り合っていける電車です。
一方で、ローカル線区間でも活躍できる多才な103系1500番台は、JR九州にとっては重宝な電車なのです。


JR九州 103系1500番台 クモハ103-1516
JR九州 103系1500番台 E16編成 クモハ103-1516   筑前前原駅

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参考文献;JR全車両ハンドブック 1995
鉄道ピクトリアル 「新車年鑑84.85」1984.10.1985.5
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