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  JR北海道 781系900番台  2007.5.13UP
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JR北海道 クモハ781 901  札幌駅 クモハ781 901.(1〜)
共通
1978年
(1980)年
長さ(m) 幅(m) 高さ(m) 自重(t)
21.250 2.949 3.975 48.5
駆動方式 制御器 モーター(kw) ギア比
平行カルダン CS48
サイリスタ連続位相制御
MT54E
150×4
4.21
ブレーキ 定員(座席) 冷房機 台車(製造)
発電ブレーキ付き電磁直通ブレーキ 56(56) AU78X
24000kcal/h×1
DT-38A
鉄道車両諸元表:出典はjR全車両ハンドブック 95
JR北海道 クモハ781 901  札幌駅

781系900番台−在来線の特急電車では初めての900番台


この春、JR 北海道は785系を増備、
北海道向けの特急電車としては最初の形式である781系900番台が廃止されることになりました。
昭和53年の製造ですから、致し方ない気もしますが、
在来線の特急電車としては初めての900番台であっただけに残念です。

781系900番台登場の背景について

 実は、北海道初の特急電車は781系ではありません。
昭和50年にデビューした電車特急いしかりには485系1500番台が起用されました。
直流電化区間で走ることはあり得ないのに交直流電車である485系を用いたのは、
特急用の交流電車が当時存在していなかったためですが、
485系を交流電車に改造するということもしなかったのは、
耐寒耐雪形である485系1500番台で様子を見るということだったのでしょう。
とはいえ、北海道の冬の厳しさはハンパではありませんでした。
案の定、本州仕様の485系1500番台は耐寒耐雪形とはいえトラブルが相次ぎ、
やはり北海道には、専用の特急電車が必要ということになりました。

 そこで登場したのが781系900番台です。
北海道向けの交流電車といえば、既に711系が存在していましたから、
制御装置はその実績を元に、サイリスタによる連続位相制御となりました。
(発電ブレーキを付加することになったため、M車の屋根上に抵抗器を乗せている点は違いますが…)
台車は、711系と同系列の密閉コロ軸受け付きDT38系に、
パンタグラフも711系の改良品である下枠交差形のPS102Bです。
またMMユニットをやめ、MTユニットとして搭載機器を分散、
M車を1両にしたことで3M3T(のち2M2T)とMT比を1対1として、短編成時にも経済的な構成となりました。
 これも、新性能車においてMMユニットをやめ、1M方式を用いた711系と同じ流れです。
つまり781系900番台においては、
足回りを711系から、特急電車としての車体については485系1500番台から
そのノウハウを引き継いだものと申せましょう。
ですから特に目新しいということはない試作車で、先行量産車というべき存在です。
 2年後の昭和55年には、量産車が落成しましたが、900番台とはたいした違いはありません。
とりわけ外観上の違いは少なく、前面の愛称表示窓が Hゴム支持から抑え金式に変わったくらいのものです。

ところで900番台ってなんでしょう。

 単純に試作車だと定義できるものではないようです。車両の開発にあたっては、当然段取りというものがあります。
つまり、現有車両の問題点とこれからの車両として課せられた課題について十分検討を加えたのち、
これらをクリアーする技術レベルを見極めた上で、
  1;工場内での試作品のテスト
  2;営業線上での現車性能試験
(在来車に新しいデバイスを取り付ける場合と試験車を作る場合とがあります。
この段階では当該の車両を実用に供することはありません。)
  3;実際の営業に供することを前提として製作される試作車、先行量産車の制作。
(より試作的要素が強いものが試作車ということになりますが、その境界は曖昧)
という段階を経てゆきます。
必ずしも全てがこうしたプロセスを経てゆくというわけではありませんが、
おおむねこうした流れの上で国鉄は車両を開発してきました。

国鉄には車両称号基準規定というのがあって在来線においては、
その形式において10の位が9であるものが事業用車で試験車がこの中に含まれます。(例クモハ591など)
そして当規定に明文化されてはいませんが、
営業運転することを前提とした試作車、先行量産車に900番台を付与することが慣習となっていました。
 
JR化以後、9の持つ意味については各社でその見解の違いが出てきます。
JR東日本においては、試験車、試作車については国鉄の規定、慣習を踏襲していますが
先行量産車については特に番台区分はしていません。
JR北海道、JR貨物については先行量産車について900番台を付与してきましたが
最新のものについてはそういうこともなくなってきました。
他の各社についても先行量産車という区別を番号に付与することは、もはやありません。

数多くの試作的要素を含む車両が、予備車もなく定期列車に就役することは欧米では考えられないことだそうです。
そしてそれら試作車のデータをフィードバックした量産車が、わずか1年後にデビューするというのも、
日本ならではのことだそうです。
781系900番台に限らず、国鉄では関係メーカーを集めて、共同で設計することが普通であることから、
限界に挑戦するような車両は出てきにくく、結果的に信頼性の高い車両、
つまり即、実用化できるレベルのものができあがってしまう特徴があります。

 試作車を作るということは、それが革新的な技術であればあるほどリスクもあり、コストもかかります。
JR北海道のDMVは例外として、
規模の小さい3島会社では、信頼性の高い、即実用化できる車両を導入してゆくことになるでしょう。
 900番台ってなんだ?という時代が、遠からずやって来るとおもわれます。

クハ781 901 苫小牧駅
クハ781 901 苫小牧駅 左

クモハ781 4  札幌駅 下


クモハ781 4  札幌駅

参考文献;海外主要鉄道における最近の車両設計思想  曽根 悟氏 鉄道ジャーナル No238 86.10
      ;車両の開発プロセスと形式番台区分について JR各社からの回答  鉄道ファン No366 91.10

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