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  JR東日本E231-900番台   2011/01/01 UP
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JR東日本 クハE231-901   撮影  2000.7西船橋駅 JR東日本 クハ209-504   撮影  2006.3西船橋駅
JR東日本 クハE231-901   撮影  2000.7西船橋駅 JR東日本 クハ209-504   撮影  2006.3西船橋駅

JR東日本 E231-900番台 

試作車であること(900番台)を名乗った電車が、普通の車両としてその名を改めた例として、
かつてJR東日本401系-クハ401-901→101をご紹介しました。

しかし、その形式そのものから改められ、
新たにまた900番台を名乗るという電車が存在するのです。
E231-900番台です。
彼らはもともと209系950番台を名乗っていました。
950番台っていうのも妙ですね。
まずは彼らが最初に背負った形式=209系についてお話しましょう。

209系は、901系をベースに造られたJR東日本の主軸となる通勤用電車です。
さて901系では「軽さ半分。寿命半分。価格半分。」という
かつてないコンセプトの試みを自社内で製造した車両を含めて
やってのけたわけですから気合いが入ってます。
901系は、その形式からして900番台をもつ試作車系列なのですが、試作車ではあっても、堂々たる10両編成。
それも、それぞれ仕様の異なった3編成が存在するという。
総勢30両に及ぶ試作車系列です。
これだけの量で、大がかりな運行実験を長期にわたってするという、JR東日本の凄さにはホント。圧倒されます。

さてその成果をもとに、満を持して量産されたのが、209系(量産車)ということになります。
京浜東北線をはじめ首都圏の新たな顔として活躍しました。
とはいえ、いつまでも主役を演じ続けることはできません。
技術の進歩に即応すべく、あえて寿命を半分にするというコンセプトに照らしても
初期に造られた209系がその寿命を迎えるという、その時機になって、
まだ209系を製造しているということでは格好がつきません。
209系も使ってみていろんなことが分かってきました。
ここらで、新機軸を打ち出した車両を開発せねばならないのは当然といえば当然です。

そこで新たなコンセプトを採り入れた試作車となるのが209系950番台です。
950番台という妙な数字について、その種明かしをしますと
前述の901系が、量産車改造されたとき、209系900番台を名乗ることになったからで、
要は番号の重複を避けたにすぎません。

さて209系950番台の動力性能はと申しますと、
最高速度120km/h、起動加速度2.5km/h/s、歯車比7.07、となっており
通勤形電車である209系(最高速度110km/h、起動加速度2.5km/h/s、歯車比7.07)の加速力を維持しつつ、
近郊形電車であるE217系(最高速度120km/h、起動加速度2.0km/h/s、歯車比6.06)の最高速度を達成しています。
従来の発想では通勤用車両は、最高速度は抑えて
その分トルクをアップし高加速、高減速を重視するものと考えられていました。
対して近郊形は、最高速度で長く走ることを重視しなければならないということになります。
しかし、21世紀の鉄道車両に求められたのは、
都心部にあては、こまめに乗客を集めながらも高加減速で運行時間の短縮を図り、同時に
乗換を強いることなく、120km/hという高速度で一気に郊外へと乗客を運ぶ…という、
通勤形車両と近郊形車両の双方に課せられた課題を
それも、コストを抑えながらも高いレベルでともにこなせるパフォーマンスです。

これを可能にした209系950番台は凄いのですが、
数値的にはJR西日本の207系(最高速度120km/h、起動加速度2.7km/h/s、歯車比7.07、)が既にこれ以上のことをやっています。
むしろ209系950番台で特筆すべきは
TIMSという列車情報管理システムが導入されたことです。

1990年代後半、電車に搭載された各種機器の構成はますます複雑になり、
デスクトップパソコンの裏側と同様、
電車の見えないところにコード(引き通し線)が、
そこかしこに張り巡らされるようになりました。
なんとかこれを整理したい。簡単に言えばそれがTIMSです。
力行・ブレーキ指令はもちろん、室内灯、放送、空調、ドア開閉やパンタグラフ上げ下げ等々にいたるまで、
あらゆる指令がTIMSを介して行われるようになりました。
これにより、機器毎に独立して配線されていたコードは数本のTIMSのコードに置き換えられスッキリしました。
このことで軽量化をはかり、いっそうのコストダウンを推し進めたわけです。
また、TIMSにより各機器の動作状況を
1ヶ所のモニターで集中管理できるようにもなったのも大きなメリットです。
このことで車両の点検作業が自動化され
保守作業のみならず、運行の引き継ぎにあってもスピーディにチェックできるようになりました。

950番台がデビューした(1998.10)そのすぐ後、209系500番台がデビューします(1998.11)。
冒頭の写真を見て頂ければおわかりのように姿カタチはそっくりです。
ですから209系500番台は、209系950番台の量産車に見えます。
しかし、その足回りは209系0番台そのもので、
0番台の広幅車といっていい存在なのです。

対して209系950番台は、単に900番台に50をプラスしただけではありません。
コンセプトは、もう一つ先の次世代にむけられていたのです。
その基礎固めをしたのが209系950番台と申せましょう。

次世代車両への課題を明確にしたJR東日本は、
209系950番台に新形式E231系900番台を与えました(2000.6)。
別にわざわざ形式を変えなくてもいいような気もしますが、
外見だけでなく、その中身に、そのコンセプトに思いをはせるとこの改番はとても納得がゆくのです。

−鉄道車両写真集−
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参考文献;鉄道ピクトリアル 「新車年鑑1999年版」No676 1999.10 No727 2003.1
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