鉄道車両管理局 珍車ギャラリー 日本国有鉄道 DE15形 ラッセルヘッド 2016/04/30 UP
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全長: 14,150mm(機関車単独)、
30,860mm(複線形両頭車)、27,760mm(単線形両頭車)
全幅: 2,950mm 全高: 3,965mm(機関車単独)、
4,077mm(ラッセルヘッド車連結時)
軸配置: AAA-B  液体変速機: DW6
エンジン
DML61ZA: 1,250ps/1,500rpm(基本番台)
DML61ZB、1,350ps/1,550rpm(基本番台以外)
最高速度: 85km/h
  DE15形2519号機ラッセルヘッド     米子 2009年6月撮影

DE15は除雪用ディーゼル機関車です。
1967~81年にかけ85両 が製造されました。

先輩格になるDD15形は大型のプラウ形ラッセル装置を機関車本体の前後に装備する構造で、1両での除雪作業を可能としました。
以前は雪かき車であるキ100形・キ550形を機関車で推進していたわけです。
専用の車両や折り返し地点での方向転換作業を不要としたことは大きなメリットでした。
またラッセル装置を外せばDD13形と同等の入換機として使用可能であり、
通年使用が可能なDD15 は運用効率の向上に大きく寄与したといえるでしょう

DD15-37 撮影 手宮
DD15-37 撮影 手宮 

しかしDD15 はラッセル装置を装着すると軸重が 15.5 t に達し、
規格の低い線区では使用できませんでした。
またラッセル装置の脱着にはクレーンを要することから
冬季は除雪専用となり、
一般車として兼用することが困難という弱点を持っていました。

そこでこれらの弱点を克服すべく
ラッセル装置を台車つきの前頭車とした
DE15形が開発されることとなったのです。

DE15はDE10をベースに開発されました。
DE10はローカル線用として、また入換にも使用できる万能機関車です。
エンジンは本線用ディーゼル機関車DD51形に搭載されたDML61系
(1,200PS級V型12気筒)で、これを1基搭載しました。
エンジンや変速機をDD51と同系統とすることで、
保守性の向上を図っています。
軸重を軽減しながらも牽引性能を維持するため
動軸を5軸としたのが最大の特色です。


前後非対称の車体、3軸+2軸(AAA+B)の台車配置などユニークな構造を持ちながらも
入換作業はもとより、貨物列車や客車列車の牽引までをこなす高い汎用性を持ちます。
DE15はそんなDE10の性能はそのままに除雪用の機能を付加したものといっていいでしょう。
DE15は当初、0・1000・1500番台が新製車で登場していますが、それらの番台区分はDE10のそれに準じています。
すなわち基本番台(SG搭載)に加え、
出力を向上したDML61ZB形 (1350PS / 1550rpm)エンジン を搭載したグループが
1000番台(SG搭載)1500番台(SG非搭載)です。
(なお500番台(SG非搭載)はDE15には存在しません。)

DE15は、当初、複線用のラッセルヘッド装着車しか製造されませんでした。
0・1000・1500番台とも、すべて複線用ラッセル車です。

しかしその後、単線用も要望されるようになり、単線用のラッセルヘッド装着車も登場します。
その際、新造された2500番代と単線用のラッセルヘッド装着車に改造された7両が追加されることになるのです。
これら7両は改番されて登場しています。
単線用の番代区分は2000番代ですが、
改造車は種車(1000、1500番台)の千位を2として、さらに改造車はこれに50をプラスする事となりました。
2050番台は2両・2550番台は5両が誕生しました。
内訳は2052・2053・2555・2556・2558・2563・2567の7両です。

当然のことながら2000番台の登場は新たに台車付き複線用ラッセルヘッドを併せて増備することとなります。

画像をご覧ください。
DD15のそれとは違って、立派なものですね。運転室がついています。
ナンバープレートまで付いています。

前述したように、DD15の場合ラッセル装置を機関車の前後に装備することで、
折り返し地点での方向転換作業を不要としたことが大きなメリットとなっていました。
ところが当初、DE15ではラッセルヘッド車は1台しか装備されませんでした。
つまり単頭形です。
向きを変える場合はラッセルヘッド車を油圧ジャッキで持ち上げ180度回転させて降ろすということで方向転換をしました。
そうなれば、もちろん機回しは必要です。不便ですね。
案の定というか。1976年すなわち10年後からはラッセルヘッド車を2つ装備し、両頭車として登場しました。
そして単頭車だったものは両頭車改造されました。
この過程は複雑です。
単純にラッセルヘッド車を1つ追加しただけのパターンもあるにはあるのですが、
1510ではこれを取り外して、1511に取り付け、1510自体にはラッセルヘッド車を2つ新製して取り付けました。
1002ではこれを取り外して、1006に取り付け、1002自体は新たに単線用ラッセルヘッド車を2つ新製して取り付け2052に改番しました。
(後、山形新幹線用のDD18形にラッセルヘッド車を供出したものも5両あります。)

単線用ラッセルヘッド車が当初導入されず、1977年すなわち10年後になって登場したというのも妙な話です。

そうそう、そもそも、なぜ単線用と複線用のDE15が存在するのでしょう?
ラッセルヘッド車を取り替えることでどちらの用途にも使えるではありませんか?

でもそれでは、単線用の新 キ100形 や複線用の新 キ550形を追加で新造することに他なりません。
ラッセルヘッド車はあくまでパーツでなければならなかったのです。

ここでDE15が登場した1967~81年は国鉄にとってどんな時代だったのか見てゆきましょう。
1965年、国鉄は初の赤字を計上し、68年には赤字83線について意見書が出され、80年には国鉄再建法が公布されました。
そう、その当時、国鉄の財政に対しては周囲の厳しい目が光っていたのです。
1963年~製の115系でさえ、会計検査院からいたずらに形式を増やすな。と苦言が呈されたそうです。

そんな中で所定の目的を達成しようとすれば、ラッセルヘッド車はあくまでパーツとして扱い、
それも単頭車として登場させるしかなかったのではと思われます。

国鉄において財政が危ういとなれば、それは何とかしなければなりません。
しかし、国鉄は営利企業ではないのです。
国民の足を守り支えるという矜恃によって成り立っている存在です。

これはフカヨミに過ぎるといわれればそれまでですが、
DE15の開発に携わったスタッフは、両頭式が良いということを百も承知で単頭式にしたと思うのです。
今はとりあえず複線用で単頭式で取りそろえ、
いずれ単線用が何が何でも必要になる。ーーその時に増備されたラッセルヘッド車を上手にやりくりして両頭式にする。
さすれば、鉄路を守る強力な車両が勢揃いする。
という算段があったのではないかと私は推察します。

1987年、国鉄分割民営化の際、約半数の361両しかJR各社に承継されなかったDE10に対し
DE15は、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本の4社に計84両が承継されました。
84/85=つまり初号機以外のすべてです。

DE15は国鉄マンの気概をJR各社に引き継いだ存在といえるのではないでしょうか。


DE15形2519号機゙     米子 2009年6月撮影
 
 












                               

 



参考文献:鉄道ピクトリアル:「特集 DE10 DE11 DE15形」の各記事 2000.12
 

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