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  広島電鉄 5000形 グリーンムーバー 5001  2012/08/15 UP
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広島電鉄5000形 1999〜2002年 シーメンス社(ドイツ)製
5車体6軸の関節式連節車(アルミニウム車体)、100%低床車。
5001〜5012の12編成が在籍。

広島駅前← 5001A-C-E-D-E  →宮島
広島電鉄 5000形 グリーンムーバー 5001    撮影 2006.3 猿猴橋電停

空中に浮かび上がった路面電車 広島電鉄 5000形 グリーンムーバー 5001 

1999年3月.。
広電5000形の第一編成5001Fはロシアの大型輸送機アントノフAn-124に載せられ、
ドイツ・ハーン空港から広島空港へ空輸されました。
補助金の申請期限に間に合わせるためだったこともあるそうですが、
話題作りのために、マスコミに注目してもらおうという意図が感じられます。
事実、そのときの映像は私にとっても衝撃的で今も目に焼き付いています。

さて、広電は何をアピールしたかったのでしょう

広電のHPによると
「21世紀に向けて都市内公共交通機関の「都市の装置」となるよう、
広島電鉄では車両の近代化について積極的に取り組んでいます。
車両の近代化を進めるにあたり,高齢化社会に対応した乗降が容易で停留場との段差がほとんどなく、
省エネルギー・低騒音・低振動など環境に配慮され、輸送力や速達性に優れた性能を持ち、
いままでの路面電車のイメージを一新する車両として、ドイツより超低床車両を導入することにしました。」
とあります。

路面電車は昭和40年代前半、大阪、名古屋、神戸といった都市から全面撤退し、
都市交通の手段としては時代遅れの感がありました。
広電は、そんなイメージを一新し、
路面電車こそ21世紀の都市にふさわしいと主張したかったのです。
そして環境にも人にも優しい路面電車に欠かせぬテクノロジーこそは車両の超低床化であると…。

そういうわけで、広電 5000形は熊本市交通局9700形電車に次ぐ、
国内2例目の100%低床電車です。
さて9700形はアドトランツ製、5000形はシーメンス製となっており、
ともに舶来ものです。
単なる偶然ではありません。

当時、日本の鉄道車両会社は路面電車の開発には消極的で、
とりわけ低床車については皆無だったのです。
日本でも「軽快電車プロジェクト(1980年)」というのがあり、
広電3500形や長崎電気軌道2000形といったサイリスタチョッパ制御も登場しました。
しかし、新時代の路面電車というには、これといったものがなく、
ともに量産化はされることはありませんでした。、
3500形にいたっては、加速性能が今ひとつで市内線には乗り入れない限定運用に甘んじていたというのも情けない話です。

前述したように日本では路面電車はその路線自体が大幅に縮小され、
マーケット自体も小さく今更高額な開発費を投入しても採算がとれないという思いもあったのでしょうか…。

対して欧州の車両会社は、路面電車こそ、都市の輸送手段にふさわしい。
という思いを連綿と受け継いでいました。
思えば、欧州の町並み、とりわけ旧市街は日本とは違って古い建物が幅をきかせています。
モータリゼーションなど想像もしていなかった道路はその幅も狭く街に人を呼び込むには路面電車が最適です。

シーメンス社といった大手車両会社がその持てる力を路面電車に傾注したのは当然の流れでしょう。
ですから、日本の路面電車とは全く別の次元の路面電車が姿を現したとしても不思議なことはありません。

この新ジャンルはLRT Light Rail Transit と呼ばれます。
これらは、低床であるということだけではありません。
そのサイズも大きいものが多いのです。
広電がシーメンス社から導入した5000形も車体を5つもつなげるという、
日本では例のない大きなものです。
編成の長さが、軌道法で定められた30m以内に収まらないため
国土交通省の特認を受けることになるその車体は
宮島側から順番にA、C、E、D、Bの各車で構成されます。
A、B車には動力台車、E車には附随台車があるのですが、
なんとC、D車には車輪がないのです。
つまり、C車ならA、E各車とは連結棒で結ばれていて浮いている格好です。

ちなみに5000形の車体長は30.52mで編成定員は153人 車体重量は31.7tです。
5000形登場以前のエース3950形と較べてみると、
車体長は27.36mで編成定員は152人 車体重量は38.0tとなります。
いかに、車体重量が軽減されているかがわかります。
アルミ車体であることも軽量化に寄与していますが、台車の数が少ないということも大きなポイントです。 

5000形の窓は固定式、扉はプラグ式で、いずれも大きいものです。
そのため車内は、明るくすっきりとしています。
そして低床ボディであることで、当然ステップはありません。
そのため車内は大変広く感じられます。
吊り広告を含め広告枠が一切無いということも影響しているでしょう
これも当時としては異例のことでした。

5000形グリーンムーバーは大好評。
2002年までに計12編成が導入されました。(5002F以後は海路で搬入されています。)
5000形登場以後、日本の車両メーカーも本腰を入れてLRTの開発にとりかかります。
近畿車輛・三菱重工業・東洋電機製造・広島電鉄の4社が、
国産初の100%フルフラット超低床路面電車を共同開発することになりました。
広電5100形(Greenmover MAX)です。
構造は5000形ゆずりの5車体連接車です。

なお5000形の日本での受け入れ整備はアルナ工機が行ったのですが、
鉄道車両から撤退した同社が、アルナ車両としてLRTの製造会社として再起を図っています。
そしての同社のリトルダンサーシリーズは今や日本各地でその活躍をみることができます。

5000形グリーンムーバーは、日本の路面電車に喝を入れた。
まさに黒船的存在だったと申せましょう。


参考文献 鉄道ピクトリアル 新車年鑑 1999年版 No676


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